判断ガイド

リフォームで自分でできること・できないこと|箇所別の境界と費用比較

ローラーで壁を塗るDIYと、道具箱とヘルメットを置いて作業する業者を対比したイラスト

先に結論

  • 壁紙・床材・網戸・障子などの「表面の張り替え」と、部品単位の交換は自分でできる範囲。
  • 電気の配線・ガス・給水管の工事は法律で資格や指定業者が決まっていて、DIYはできない。
  • 資格が不要でも、2階以上の高所作業と、失敗すると水漏れ・雨漏りにつながる作業は業者の方が結果的に安いことが多い。
  • 迷ったら「資格」「危険」「失敗コスト」の3つで判断すると線が引ける。

作業カード

難易度
慣れた人向け
作業時間
箇所による(1時間〜数日)
人数
1人〜2人(作業による)
自分でやる費用
数千円〜数十万円(箇所による)
業者に頼む費用
数千円〜百万円超(箇所による)

※費用は材料のグレードや地域、現場の状態で変わる目安です。

この記事の目次

使う道具

  • プラスドライバー・マイナスドライバー(ほぼ全ての作業で使う)
  • カッターとスペアの刃(壁紙・床材の張り替えに)
  • メジャー・水平器(採寸と取り付け位置の確認)
  • モンキーレンチ(水回りの部品交換に)
  • 脚立(天井・高い場所の作業に(2階以上の屋外では使わない))

用意する材料

  • 養生テープ・養生シート(床や家具を汚さないために)

業者から見積もりを取ったら思ったより高かった。「これくらいなら自分でできるのでは」と考えるのは自然なことです。実際、住まいのリフォームには自分でやっても問題ない作業がかなりあります。

一方で、法律で資格や指定業者が決まっている工事や、失敗したときの損が大きすぎる工事もあります。この境界を知らずに手を付けると、節約したはずが修理代で逆に高くつくことになります。

ここでは「自分でやるか、頼むか」を判断するための3つの基準と、箇所ごとの線引き、DIYと業者の費用の目安をまとめます。

判断の基準は「資格」「危険」「失敗コスト」の3つ

どの作業にも使える判断軸は次の3つです。1つでも引っかかったら、業者に頼む方を先に検討します。

  1. 資格:法律で資格や指定業者が決まっているか 電気の配線、ガスの配管・機器接続、給水管の工事がこれに当たります。やり方が分かっていても、資格がなければやってはいけない作業です。
  2. 危険:ケガや事故のおそれが大きいか 2階以上の屋根・外壁、はしごを長く使う作業、重い物の取り付けなど。資格は要らなくても、転落事故は取り返しがつきません。
  3. 失敗コスト:失敗したときに被害が広がるか 水漏れは床下や階下へ、雨漏りは壁の中へ広がります。壁紙の張り損じなら張り直せば済みますが、水と雨は「気づいたときには被害が大きい」のが厄介なところです。

ローラーやカッターなどDIY向けの道具と、テスターやパイプレンチなどプロ向けの道具を分けて並べたイラスト

箇所別:自分でできること・できないこと一覧

住まいの箇所ごとに、DIYでできる範囲と業者に任せるべき範囲を整理しました。「条件付き」は、作業自体はできても条件次第で業者に切り替えた方がいいものです。

箇所自分でできること業者に任せること主な理由
壁・天井壁紙の張り替え、ペンキ塗り、小さな穴の補修、リメイクシート下地(石膏ボード)の大きな張り替え、吹き抜けなど高所の天井失敗コストは小さい。高所は危険
床クッションフロア、置くだけのフロアタイル、フローリングの傷補修フローリングの全面張り替え、床下地のやり直し、床鳴りの根本修理下地まで及ぶと道具と技術が要る
建具・窓網戸・障子・ふすまの張り替え、戸車や取っ手の交換窓サッシの交換、玄関ドアの交換サッシ交換は外壁や防水に関わる
水回り蛇口のパッキン交換、単独水栓の取り替え、トイレタンク内の部品交換、便座の交換(条件付き)水栓の増設・移設、給水管・排水管の工事、給湯器の設置配管を伴う工事は指定業者の範囲
電気引掛シーリングへの照明の取り付け、電球交換、プラグ付き家電の設置コンセント・スイッチの増設や交換(埋め込み型)、直付け照明の交換、エアコン用の専用回路電気工事士の資格が必要
ガスガスコンロ(テーブル型)をガス栓にホースでつなぐ、電池交換ガス栓の増設・移設、ガス給湯器・ふろがまの設置と交換、ビルトインコンロの接続資格・指定工事店の範囲、ガス漏れの危険
外構・庭防草シート、砂利敷き、低い花壇、キットのウッドデッキ(平屋の地面置き)高いブロック塀、カーポート、土留め、大きなフェンスの基礎倒壊すると他人を巻き込む
外まわり1階の手が届く範囲の塗装・シーリングの補修、雨漏りの応急処置2階以上の外壁塗装、屋根の修理、雨漏りの原因調査転落の危険。雨漏りは原因特定が難しい
間取り・構造棚の取り付け(下地がある場所)、家具での間仕切り壁の撤去・新設、増築、柱や梁に関わる工事建物の強度・建築確認に関わる

表の「自分でできること」の中でも、道具の有無や家の状態で難しさは大きく変わります。個別の手順は、各記事で「こうなったら業者へ」の条件とあわせて解説しています。

法律で「自分でやってはいけない」工事

ここがいちばん大事な線です。技術的にできそうに見えても、法律上は資格者や指定業者しか触れない工事があります。詳しくはリフォームで資格が必要な工事まとめで整理しているので、ここでは要点だけ押さえます。

電気:配線に触れる作業は電気工事士の範囲

電気工事士法では、家庭の電気設備を設置・変更する工事は、原則として電気工事士でなければ作業できません。資格が要らないのは、政令で決められた「軽微な工事」だけです。

資格なしでできる代表例は、差込み接続器やローゼット(天井の照明用の受け口)などにコードをつなぐ工事です。天井に引掛シーリングがあれば、照明器具を差し込んで取り付けるのは資格なしでできます。

逆に、次のような作業は資格が必要です。

  • 壁に埋め込まれたコンセント・スイッチの交換や増設
  • 天井に直接配線されている照明器具(直付け照明)の交換
  • 引掛シーリングそのものを天井に取り付ける
  • エアコン用の専用コンセント・専用回路の新設

ガス:配管と機器の接続はプロの領域

都市ガスの場合、敷地内のガス管(内管)の工事はガス事業者か、その指定工事店が施工します。LPガス(プロパン)では、法律で液化石油ガス設備士でなければ従事できない作業が決められています。

ガス給湯器やガスふろがまは、設置工事の不備による事故を防ぐために、工事の監督に資格者を置くことが法律で義務付けられている機器です。給湯器の交換は「本体を付け替えるだけ」に見えますが、ガス・給水・給湯・排気・電気がすべて絡むため、DIYの対象外と考えてください。

水道:配管を伴う工事は指定給水装置工事事業者

水道の給水管や蛇口(給水装置)の工事は、水道局が指定した「指定給水装置工事事業者」が施工するのが原則です。例外として、水道法施行規則で「軽微な変更」とされている**単独水栓の取り替えや補修、パッキン・こまなど末端の部品の交換(配管を伴わないもの)**は、指定業者でなくてもできます。

つまり「同じ場所の蛇口を付け替える」「パッキンを替える」はDIYの範囲、「蛇口を増やす」「配管を延ばす・移す」は指定業者の範囲です。

建物:増築と骨組みに関わる工事

建築基準法では、防火地域・準防火地域の外で、増築する部分の床面積の合計が10㎡以内なら建築確認は不要とされています。裏を返すと、防火地域・準防火地域では10㎡以内の増築でも確認申請が必要です。

また2025年4月の法改正で、木造2階建て住宅などの大規模な修繕・模様替えも建築確認の対象になりました。物置の設置や小さな増築でも、自分の地域の区分を役所で確認してから計画するのが安全です。

箇所別:DIYと業者の費用比較

「自分でやるといくら浮くのか」の目安です。DIYは材料と道具の購入費、業者は材料費込みの総額の目安で、製品のグレード・地域・家の状態で大きく変わります。見積もりの妥当性を見る参考として使ってください。

作業DIYの費用目安業者の費用目安DIY向きか
壁紙の張り替え(6畳)1.5万〜3万円4万〜7万円向いている
クッションフロア(6畳)1万〜2万円3万〜6万円向いている
網戸の張り替え(1枚)1,000〜3,000円3,000〜6,000円向いている
障子・ふすまの張り替え(1枚)1,000〜3,000円3,000〜8,000円向いている
キッチン水栓の交換1万〜4万円(本体代)3万〜7万円(本体・工賃込み)条件付き
トイレのボールタップ交換2,000〜6,000円1万〜2.5万円条件付き
防草シート+砂利(10㎡)1万〜3万円4万〜8万円向いている
引掛シーリングへの照明の取り付け0円(本体代のみ)3,000〜8,000円向いている
コンセントの増設(1か所)DIY不可1万〜3万円資格が必要
エアコンの専用回路の新設DIY不可1.5万〜4万円資格が必要
ガス給湯器の交換DIY不可15万〜40万円(本体込み)資格が必要
外壁塗装(2階建て30坪前後)足場が必要なため非推奨80万〜150万円業者向き

費用差が大きいのは、手間賃の比率が高い「張り替え系」です。材料費はそれほど高くない一方で、業者に頼むと職人の日当が乗るため、DIYにすると半額以下になることが珍しくありません。

反対に、水回りの部品交換は材料代そのものは安く、業者費用の大半が出張費と工賃です。自分でやれば安く済みますが、止水や締め付けの失敗で水漏れを起こすと、床の張り替えまで含めた修理になりかねません。

「できる」けれど業者に頼んだ方がいいケース

資格が要らない作業でも、次のような状況なら業者に任せる方が合理的です。

失敗したときの被害が大きい

  • マンションの水回り:水漏れが階下に及ぶと、自分の家の修理だけでは済みません。
  • 雨漏り:応急処置はDIYでできますが、原因の特定は難しく、ふさいだ場所と違う所から水が入っていることもあります。応急処置の範囲は雨漏りの応急処置で解説しています。

高い場所・重い物

  • 2階以上の外壁や屋根は、はしごからの転落事故のリスクが高く、足場が必要です。
  • 吊り戸棚や大型の照明など重い物は、下地に正しく固定できないと落下します。

時間と道具代が見合わない

  • 1回しか使わない専用工具を揃えると、業者の工賃と変わらなくなることがあります。
  • 広い面積を慣れない人がやると、仕上がりの差が大きく出ます。壁紙なら「まず1面だけ自分でやってみて、残りを頼む」という選び方もあります。

賃貸・マンションで注意すること

持ち家の一戸建てと違い、賃貸やマンションでは「法律上できるか」の前に、もう1段階の確認があります。

  • 賃貸:退去時の原状回復が前提です。壁紙の張り替え・穴あけ・水栓の交換は、管理会社や大家さんの許可が必要です。詳しくは賃貸でできるDIYはどこまで?にまとめています。
  • 分譲マンション:室内でも、管理規約で床材の遮音性能や工事の事前届出が決まっていることが多いです。ベランダ・玄関ドア・窓サッシは共用部分なので、個人では変更できません。

業者に頼む場合の探し方

自分でやらないと決めた作業は、内容に合った相談先を選ぶと話が早く進みます。

  • 部品交換・小さな修理:水道・電気の出張修理業者。水道なら、お住まいの水道局が公開している指定給水装置工事事業者の一覧から探せます。
  • ガス機器:契約しているガス会社(都市ガスなら地域のガス事業者、LPガスなら販売店)に相談するのが確実です。
  • 内装の張り替え・水回りのまとまったリフォーム:リフォーム会社・工務店。1社だけで決めず、複数社の見積もりを比べると相場感がつかめます。
  • 外壁・屋根・外構:専門業者。足場が必要な工事は金額が大きいため、見積もりの内訳を必ず確認します。

どの場合も、見積書で「材料費」「工賃」「出張費・処分費」が分かれているかを見ると、DIYした場合との差がはっきりします。自分でやる作業と頼む作業を上手に分けることが、リフォーム費用を抑えるいちばん確実な方法です。

こうなったら業者に頼む

  • 壁の中の配線、コンセントやスイッチの増設・移設が必要になった
  • ガス機器の設置・移設、ガス栓の増設をしたい
  • 給水管・排水管の延長や移設、水栓の増設が必要になった
  • 2階以上の屋根・外壁、足場が必要な高さの作業になる
  • 部屋の広さを増やす(増築)、柱・壁・床・屋根の骨組みに手を入れる
  • DIYで直したはずの水漏れ・雨漏りが止まらない

無理に続けて傷口を広げると、最初から頼むより高くつくことがあります。見積もりは2〜3社から取ると相場がつかめます。

よくある質問

照明器具の交換は自分でしていい?
天井に引掛シーリング(差し込んで回すタイプの受け口)が付いていれば、照明器具の取り付け・取り外しは資格なしでできます。受け口がなく天井に直接配線されている照明の交換や、受け口自体の取り付けは電気工事士の資格が必要です。
賃貸でも同じ範囲までDIYしていい?
法律上の線引きは同じですが、賃貸は退去時に元に戻す(原状回復)前提になるため、壁紙の張り替えや穴あけは管理会社・大家さんの許可が先です。はがせる素材を使うなど別の考え方が必要です。
資格が必要な作業を自分でやったらどうなる?
電気工事士法やLPガスの保安に関する法律には罰則があります。それ以上に、配線やガス接続の不備は火災・感電・ガス漏れにつながり、保険や保証の面でも不利になります。
DIYで失敗したら業者は直してくれる?
多くの場合は対応してもらえますが、DIYの跡を撤去してからのやり直しになるため、最初から頼んだ場合より費用が上がるのが普通です。水回りや屋根は被害が広がる前に早めに相談した方が安く済みます。

参考にした資料

クレオンDIY編集部

住まいのDIYを「自分でやるか、頼むか」で判断できるように、メーカーの施工説明書や公的機関の情報をもとに記事を作っています。法令や製品仕様が変わったときは記事を更新し、更新日を明記しています。

※本記事は2026年9月28日時点の情報にもとづく一般的な解説です。作業はご自身の判断と責任で行い、製品の取扱説明書・施工説明書の指示を優先してください。電気・ガス・給水装置の工事など資格が必要な作業は、有資格者や指定業者に依頼してください。