キッチン水栓を自分で交換する手順|タイプの見分け方と失敗しないコツ
先に結論
- 取付タイプ(ワンホール・ツーホール・壁付き)と寸法を確かめて、同じタイプの「取替用」を選べば自分で交換できる。
- 失敗の多くはサイズ違いとパッキン・シールテープの不備による水漏れ。買う前の採寸と、通水後の確認で防げる。
- 水道法施行規則の「軽微な変更」は単独水栓の取替えと配管を伴わない部品交換。配管をいじる工事は指定給水装置工事事業者に頼む。
作業カード
- 難易度
- 慣れた人向け
- 作業時間
- 1〜3時間(下準備を除く)
- 人数
- 1人でできる(シンク下作業は補助がいると楽)
- 自分でやる費用
- 水栓本体1.5万〜5万円前後+工具2千〜5千円
- 業者に頼む費用
- 工事費1万〜2.5万円前後+水栓本体代
※費用は材料のグレードや地域、現場の状態で変わる目安です。
この記事の目次
使う道具
- モンキーレンチ(袋ナット・給水ホースの接続に)
- 水栓スパナ/立水栓レンチ(シンク下の固定ナット用。水栓に付属することもある)
- マイナスドライバー(止水栓の開け閉め)
- 六角レンチ(上面施工タイプの固定に使う機種がある)
- 懐中電灯・バケツ・雑巾(シンク下は暗く、残り水が出る)
- メジャー(穴径・ピッチ・配管長の採寸)
用意する材料
- 取替用キッチン水栓(既存と同じ取付タイプのもの)
- シールテープ(壁付きの取付脚に使う)
- 交換用パッキン(新品の水栓に付属していれば不要)
- 水栓穴変換アダプター・偏心管アダプター(寸法が合わない場合のみ)
レバーの根元からじわじわ水がにじむ、ハンドルが重くなった、浄水器付きに替えたい。キッチン水栓を替えたい理由はいろいろですが、業者の見積もりを見て「本体代とは別に工事費がこんなにかかるのか」と感じた人も多いはずです。
キッチン水栓の交換は、既存と同じ取付タイプの製品を選べれば、工具をそろえて自分でできる作業です。逆に、タイプや寸法を読み違えると、買った水栓が付かない・付いたけれど水が漏れる、という失敗につながります。ここでは、買う前の見分け方から、交換手順、法令上どこまで自分でやってよいかまで順に整理します。
まず取付タイプを見分ける
キッチン水栓は、どこに・いくつの穴で固定されているかで大きく3タイプに分かれます。交換は原則として同じタイプどうし。タイプをまたぐ変更(壁付きから台付きへ等)は配管の工事になるので、DIYの範囲から外れます。
| タイプ | 見た目の特徴 | 採寸するところ | DIYの難しさ |
|---|---|---|---|
| ワンホール(台付1穴) | シンク横の天板に水栓が1本立っている。シンク下で本体から給水・給湯のホースが2本出ている | 天板の穴径、シンク下の配管までの長さ | 取替用モデルが多く、比較的やりやすい |
| ツーホール(台付2穴) | 天板に穴が2つ。お湯と水のハンドルが左右に分かれているものが多い | 2つの穴の中心間距離(ピッチ)。シンク下のナット間を測る | ピッチが合う製品を選べば中程度 |
| 壁付き | 壁から出た2本の配管(取付脚)に本体が横向きに付いている | 2本の配管の中心間距離(ピッチ)、壁からの出っ張り | 取付脚の付け替えを伴うと難しい |
見分けに迷ったら、シンク下の扉を開けてみると早いです。本体から伸びたホースが止水栓につながっていればワンホール、天板の下に固定ナットが2つあればツーホール、シンク下に何もなく壁から配管が出ていれば壁付きです。
ワンホールは穴径に注意
ワンホールの取付け穴は、主要メーカー間でおおむね共通の寸法ですが、機種や年代で幅があります。たとえばSANEIの上面施工タイプは穴径3.6〜3.8cmを前提にしていて、外れる場合は別売の変換アダプターが必要です。KVKにはφ33〜47mmのほとんどの穴径に1台で対応する「取付け穴兼用」シリーズがあり、LIXILにもφ39〜47mmに対応する取替アダプターがあります。古い水栓を外したら、まず穴径を測ってから新しい本体を合わせるのが安全です。
ツーホール・壁付きはピッチを測る
2穴や壁付きは、2つの取付け位置の中心間距離(ピッチ)が合わないと付きません。SANEIは台付タイプの交換前にカウンター下のナット間の距離を測るよう案内しています。KVKには取付けピッチを現場で切り替えられる「可変ピッチ」の浴室用水栓もあり、ピッチが合わないことはリフォームでよくある悩みとして扱われています。
止水栓・元栓の閉め方
作業の前に、必ず水を止めます。TOTOの案内では、止水栓はマイナスドライバーで右(時計回り)に回すと閉まり、左に回すと開くものが一般的です。
- 台付き(ワンホール・ツーホール):シンク下のカウンター下に止水栓があることが多い。お湯側・水側の両方を閉める。
- 壁付き:止水栓は本体と壁の間の取付脚に付いていることが多い。ただし取付脚ごと外す作業では、脚の止水栓では止まらないので元栓を閉める。
- 元栓の場所:戸建ては敷地内の地面(メーターボックス内)、集合住宅は玄関横のパイプシャフト内にあることが多い。
止水栓を閉めたら水栓のレバーを開け、水もお湯も出てこないことを確かめます。給湯器の電源も切っておくと、作業中に熱いお湯が出る心配がありません。
手順
ここではいちばん多いワンホールを軸に、ツーホール・壁付きで違う点を補足します。細かい部品構成は製品ごとに違うので、新しい水栓に付属する施工説明書が最優先です。

止水して、配管まわりを確認する
止水栓(または元栓)を閉め、レバーを開けて残り水を抜きます。シンク下の物を全部出し、バケツと雑巾を置きます。ホースの接続位置と長さを写真に撮っておくと、元に戻すときの目安になります。
給水・給湯ホースを止水栓から外す
モンキーレンチで止水栓側の袋ナットをゆるめ、ホースを外します。ホースの中に残った水が出るのでバケツで受けます。浄水器や食洗機の分岐がある場合は、その接続も外します。
古い水栓の固定を外して抜く
ワンホールはシンク下の固定ナット(またはボルト)をゆるめると、本体を天板の上へ引き抜けます。SANEIの解説では、固定方法には「ナット式」「ボルト式」「上面施工」などがあり、それぞれ使う工具が違います。天板の下は狭いので、専用の締付工具があると作業がかなり楽になります。
ツーホールはシンク下のナット2か所、壁付きは本体裏の袋ナット2か所をゆるめて本体を外します。
穴径・ピッチ・天板まわりを測り、掃除する
古い水栓を外したら、穴径(ツーホールや壁付きはピッチ)を測り、新しい水栓の説明書の条件と照らし合わせます。穴のまわりの水あかや古いパッキンのかすを落とし、平らな面にしておきます。汚れが残るとパッキンが密着せず、にじみの原因になります。
新しい水栓を取り付ける
説明書の順番どおり、パッキン・座金・ナットを入れて本体を固定します。本体の向きをシンクに対してまっすぐ合わせてから本締めします。引き出し式の水栓は、ホースを穴に通すときに引っ張りすぎないようにします。
壁付きで取付脚ごと替える場合は、古い脚を外したあと、壁側の配管のねじ山に残ったシールテープを歯ブラシなどで取り除きます。SANEIの手順では、新しい取付脚のねじ部にシールテープを時計回りに6〜7回、軽く引っ張りながら巻き、左右の脚の高さと角度をそろえてねじ込みます。ねじ込み過ぎて逆に戻すと水漏れの原因になるため、戻してしまったらシールテープの巻き直しからやり直すよう案内されています。
ホースを接続する
給水・給湯ホースを止水栓につなぎ、袋ナットを締めます。お湯と水を逆につながないよう、ホースの色やラベルを確認します。機種によっては逆止弁を途中に入れる指定があるので、付属部品が余っていないか確かめます。
通水して水漏れを確認する
止水栓をゆっくり開け、レバーを操作して吐水・止水・温度切り替えを確かめます。そのあと、乾いたティッシュをシンク下の接続部に当てて、にじみがないかを見ていきます。数時間後と翌朝にももう一度確認すると安心です。
よくある失敗
| 失敗 | 起きやすい原因 | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| 買った水栓が付かない | 取付タイプ違い、穴径・ピッチの採寸ミス | 外す前に品番を控え、外したら実測してから購入を確定する |
| ホースが届かない・余る | シンク下の配管位置との距離を見ていない | 説明書のホース引出長さと実際の距離を比べる。延長用アダプターが出ている機種もある |
| 接続部から水漏れ | パッキン忘れ・ずれ、締め不足 | 分解した部品を並べて置き、組むときに1つずつ確認する |
| 壁付きの取付脚から漏れる | シールテープ不足、ねじ込み後に逆回し | 巻き数と回転数を守り、戻したら巻き直す |
| 本体がぐらつく | 固定ナットの締め不足、天板の汚れ | 向きを決めてから専用工具で本締めする |
特に多いのがサイズ違いです。通販で「キッチン水栓」とだけ検索して選ぶと、タイプが違うものを買ってしまうことがあります。商品ページの「取付タイプ」「取付穴径」「取付ピッチ」の欄を必ず確認しましょう。
水道法の「軽微な変更」との関係
水道の蛇口から配水管の分岐までの設備(給水装置)は、住む人の財産で、維持管理も所有者が行う、というのが水道局の基本的な考え方です(東京都水道局)。一方、給水装置の新設・改造・修繕などの工事は、水道局の指定を受けた指定給水装置工事事業者に申し込む仕組みになっています。
水道法第16条の2では、水道事業者は指定工事事業者以外が行った給水装置工事を理由に給水を止められるとしていますが、「軽微な変更」はその対象外です。水道法施行規則第13条は軽微な変更を次のように定めています。
単独水栓の取替え及び補修並びにこま、パッキン等給水装置の末端に設置される給水用具の部品の取替え(配管を伴わないものに限る。)
ここから言えるのは、次の線引きです。
- パッキンやカートリッジなどの部品交換で配管に手を加えないものは、軽微な変更に当たる。
- 給水管の切断・延長、水栓の増設、取付位置の変更のように配管を伴うものは、指定給水装置工事事業者の仕事。
- 条文が明記しているのは「単独水栓の取替え」で、湯水の混合栓の本体交換をどう扱うかは、水道事業者(地域の水道局)ごとの運用を確認するのが確実です。
自分でやる場合と業者に頼む場合の費用
費用はあくまで目安です。水栓本体の価格は、機能(浄水器一体型・タッチレス・食洗機分岐など)で大きく変わります。
| 項目 | 自分でやる | 業者に頼む |
|---|---|---|
| 水栓本体 | 1.5万〜5万円前後(取替用の一般的な混合栓) | 同程度(業者手配だと定価に近いこともある) |
| 工具・消耗品 | 2千〜5千円前後(専用レンチ、シールテープ等) | 不要 |
| 工事費 | 0円 | 1万〜2.5万円前後(出張費・古い水栓の処分費が別のことも) |
| 作業時間 | 1〜3時間+採寸・買い物 | 1時間前後 |
| 失敗したとき | 部品の買い直しや、結局業者を呼ぶ費用がかかる | 施工後の水漏れは業者の保証で対応されることが多い |
差額は工事費の1万〜2.5万円程度です。ワンホールで「同メーカーの取替用」を選べる場合はDIYの費用対効果が高く、壁付きで取付脚が固着している、給水管の長さを変える必要がある、といった場合は最初から業者に任せる方が確実です。
トイレのタンク内部品の交換は、水栓交換より部品代・難易度ともに低めです。水回りのDIYを続けてやるならトイレのボールタップ交換もあわせてどうぞ。どこまでを自分でやるかの全体の目安はリフォームで自分でできること・できないことで整理しています。
こうなったら業者に頼む
- 止水栓や元栓が固くて回らない、閉めても水が止まらない
- 壁付きの取付脚(偏心管)が固着して回らない、壁の中の配管が見えている・錆びている
- 給水管の延長・切断、水栓の増設など配管の変更が必要になった
- 天板(カウンター)の穴を広げる・新たに開ける必要がある
- 賃貸で、管理会社・大家さんの承諾が取れていない
- 交換後に接続部からの水漏れが止まらない
無理に続けて傷口を広げると、最初から頼むより高くつくことがあります。見積もりは2〜3社から取ると相場がつかめます。
よくある質問
キッチン水栓の交換に資格は必要ですか?
違うメーカーの水栓に交換できますか?
2ハンドルからシングルレバーに替えられますか?
浄水器一体型や食洗機分岐付きにしても大丈夫ですか?
参考にした資料
- e-Gov法令検索「水道法施行規則」(第13条 給水装置の軽微な変更)
- 国土交通省「水道法第16条の2第3項のただし書き(指定給水装置工事事業者以外の施行の場合)について」
- 東京都水道局「水道工事のお申し込み」
- 東京都水道局「水道設備の維持管理」
- TOTO「水栓の予備知識」
- LIXIL「水栓の取替えをお考えの方へ」
- KVK「水栓のリフォーム」
- SANEI 水まわり解決帖「ワンホール混合栓 本体交換/ナット式の取付方法」
- SANEI 水まわり解決帖「ワンホール混合栓 本体の交換/上面施工(Aタイプ)」
- SANEI 水まわり解決帖「台付混合栓共通 本体の交換」
- SANEI 水まわり解決帖「壁付け混合栓の交換/一般偏心管の取付け方」
※本記事は2026年9月28日時点の情報にもとづく一般的な解説です。作業はご自身の判断と責任で行い、製品の取扱説明書・施工説明書の指示を優先してください。電気・ガス・給水装置の工事など資格が必要な作業は、有資格者や指定業者に依頼してください。